商品やサービスを提供する際に決める「ターゲット」の考え方|TPOSについて

Photo by Nathaniel Yeo on Unsplash

「わたしたちの商品(またはサービス)の

ターゲットは40代の男性です」みたいな

言い方をすることがよくありますよね。


確かに、

3歳くらいの少年に対する接し方と

40代のおじさんに対する接し方は

違ってくるので、


相手を配慮するという考え方としては

間違っていないように思われます。


でも、

商品やサービスを提供するにあたっては、

その商品を40代の男性が全員、

同じように関心を持つのか……というと、

そんなはずはありませんよね。


前回の記事から

「価値は相対的」であることを学びました。


価値が相対的ということであれば、

いわゆるターゲットの考え方として、

「40代の男性です」というような、


属性を指標として考えることは、

好ましくないことがわかります。


相手のことを考える…ということは、

良いことですが、その見方が

違っているということですね。


では、どのように考えていくのが

良いのでしょうか。


商品やサービスを提供する立場から

考えていきます。



商品やサービスの購入そのものは目的ではない

そもそも、商品やサービスが

どのような時に求められるのかを

考えていきます。


そのヒントとして、

以下の有名な格言があります。


ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である

セオドア・レビット博士(経済学者)/ 出典『マーケティング発想法』



ドリルを買った人は、

「ドリル」という商品そのものではなく、


それを使うことによって得られる

「穴」という問題解決(結果)や利益

求めていたということです。


要するに、

商品やサービスの購入そのものは、

目的ではないということですね。


購入することによって得られる

問題解決や体験を求めているということが、

その本質ということがわかります。


だから、

その商品やサービスの、

いわゆるターゲットとなるのは、


その商品を買いたい人でもなくて、

40代の男性でもなくて、

問題解決を求めている人=何かに困っている人

または体験をしたい人ということになります。


ものすごく簡略的に言うと、

どういうシチュエーションで

必要になるのかを考えるということですね。


それを考えるのに

便利なフレームワークがあります。



TPOSを考える

よく「TPOをわきまえよ」と

言われることがありますよね。


たとえば、企業への面接に行くならば、

スーツで行く……というような、


時や場所、場合に応じて

服装や言葉遣いなどを選ぶこと

指しています。


この場合のTPOは、

  • T=Time(時)、
  • P=Place(場所)、
  • O=Occasion(場合)の略であり、

 ファッション業界が提案したものです。

(ちなみに、和製英語だそうです!)


わたし個人の解釈ではありますが、

この概念を商品やサービスに

当てはめていくような考え方がTPOSです。


要するに、

相手によって自分(商品)を合わせていく…

…というような発想というのでしょうか。


TPOにSが付いていますが、

S=life Style(生活様式)の略です。


したがって、TPOSをまとめると……


  • Time=いつ、どんな頻度で
  • Place=どこで、どこから
  • Occasion=どんな場面で
  • life Style=どんな生活スタイルで


……ということになります。


これらに、きちんと答えられる

シチュエーションを満たす人が、

いわゆるターゲットとなるわけですね。


逆に、これらを実現可能な形で

丁寧に埋めていこうとすれば、

商品やサービスの在り方が、

自ずと決まっていくということです。



まとめ

TPOSを定めた結果として、

ターゲットが「40代の男性」という風に

なることもあるかもしれません。


ただし、それは結果であって、

そこから狙うものではありません。


相手のことをよく考え、

こちらから商品やサービスを

積極的に合わせていくという

柔軟性を持ち合わせていたいものです。

石井 玲|Ishii Ryo

皆さまの引き立て役としての編集者を目指しています。
東京都世田谷区出身。武蔵工業大学工学部機械システム工学科首席卒業。双子座のAB型。
-----
ファブレスメーカーの生産管理部長を経て、開店休業状態の家業(甲陽書房)の立て直しへ。
生産管理と編集者の共通点である「本来の魅力、品質を引き出し、人とチカラを合わせながら、モノやサービスをつくる」活動をしています。

0コメント

  • 1000 / 1000