『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』小山田育/渡邊デルーカ瞳 共著から“デザインの在り方”を学ぶ

本来の魅力や品質を引き出し、

それを「伝えていく」ということが、

編集者としての役割だと考えています。


一方、本来の魅力という表現そのものが

抽象的であり、さらに「伝える」手段も

明確ではないように感じられてしまいます。


そこで、イメージをカタチにして

伝えていくという観点から、

「ブランディング」「デザイン」について

こちらの書籍から学んでいきます。

 

『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』世界に通用するデザイン経営戦略

小山田育・渡邊デルーカ瞳 共著 / クロスメディア・パブリッシング 刊


書籍の紹介サイトはこちら。

このサイトの中の

「ブランディングとは?」の項目にある

イラストが非常にわかりやすいので、

ぜひ、ご覧になってください。



本書を読む目的

  • 「伝える」とは何かを学ぶ
  • 「デザイン」の在り方を学ぶ



内容から得られたもの

デザインは見た目の良いものをつくることではない

私たちにとってデザインするということは、 
・クライアントをよく観察し
・課題や問題点や強みを見極め
・オーディエンスや時代、市場を考慮し
・問題解決する方法を柔軟にクリエイティブに考え出し
・それを可視化して伝わるかたちに落とし込んでいく
ということです。 

「デザイン」という言葉に惑わされ、

見た目の良いものをつくる=デザイン

思いがちですが、そうではありません。


デザインは、問題解決の手段であって、

どうしてそのカタチになったのかを

根拠を持って説明できなければなりません。


単に綺麗な見た目のものを作ることができる、

お洒落に魅せられるということだけでは、

デザインとは言えないということですね。


難しいのは、世間的なデザインのイメージと

本来の問題解決の手段としてのデザインが

一致していないということでしょうか。



日本語の言語文化の性質により、伝えるという意識が必要

日本語はハイコンテクストな言語であり、英語はローコンテクストな言語です。(中略)ハイコンテクストな言語では、コミュニケーションを理解するために、文化、環境、価値観、考え方などが共通である、という前提があってはじめて相手に物ごとが伝わります。(中略)いわゆる行間を読む、といったことです。

本書にも記載してありますが、

伝わるということは相手が正確に理解する

……ということ。


言語文化の違いによって、

具体的にどういう差が出てくるかというと、


それは「話し手」と「聞き手」どちらに

理解の責任があるか…ということです。


英語などのローコンテクストな言語の場合は、

伝わらない場合、話し手(発信する側)に

能力がないとみなされます。


一方、日本語などハイコンテクストな言語は、

伝わるかどうかが「行間を読む」というような

聞き手の読解力にも委ねられることから、

読み手(受信する側)の能力も問われます。


こういう違いがあることを意識するだけで、

価値観が多様化していく昨今、

行間を読むという相手の能力に依存しないよう、

「伝える」という努力が必要だとわかります。



部分的に見るのではなく、全体を俯瞰してみる必要がある

商品のスペック(機能的価値)だけでなく、商品やそのつくり手に共感できるか(情緒的価値)が重要になってきている時代。(中略)情緒的な価値を重視するビジネスの増加に伴い、取り組まなければならない課題があります。それは、これらの情緒的価値をアウトプットしていくということ、伝えていくことです。

ここで言う、情緒的価値とは、

デザイン、ストーリー、

ビジョン、ミッション、社会貢献的要素

……などを指します。


これらを伝えるそもそもの目的、

ビジネスの目指すゴールというのは、


商品やサービスをご購入していただくこと、

リピートしてくださるファンをつくることに

他なりません。


そのために、重要なことは何かというと、

ビジネスから発せられる全てのメッセージが矛盾なく同じ方向を目指していて、世界観がぶれることなく一貫していること

……です。


これを意識するだけで、

たとえば、ロゴのデザインはこの人に、

名刺のデザインはあの人に

チラシのデザインはまた別の人に

……というような、


バラバラな考え方には

ならなくなるように思うのです。


一貫性が重要ということですね。



伝える相手を考える

伝える相手が5歳の息子か、近所の女子中学生か、直属の上司か、カフェで隣に座ったイギリス人か、親友か、大学教授か、耳の遠くなった祖父か。同じ内容でも相手によって、話し方や声のトーン、話すスピードや言語、構成などを変えていくと思います。

言われてみれば当たり前のことですが、

伝える相手を理解するという観点が

抜けてしまうと、伝わりません。


相手はどういう人なのか、

どういう相手に伝えたいのか、

そういうことをよく理解して、


相手に合わせた伝え方を

考える必要があります。


相手を思いやるということですね。



まとめ

本書は、ブランディングに関する本ですので、

ここに紹介した以外に、もっと専門的で

具体的な内容が含まれています。


今回は、伝えるということ、

デザインということを学ぶという観点で

ご紹介してきました。


個人的に今後、

特に活かしていきたいと思ったのは、

「行間を読む」ということに頼らず

伝えるという努力をすること。


また、相手を理解するということは、

当たり前ながら、

あらためて意識したいところです。


本ブログも、現時点では、

自分自身のために更新をしていますが、


本来、どういう人に読んでもらいたいかを決め、

その人のために書いていくということが

必要だと思っています。

石井 玲|Ishii Ryo

皆さまの引き立て役としての編集者を目指しています。
東京都世田谷区出身。武蔵工業大学工学部機械システム工学科首席卒業。双子座のAB型。
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ファブレスメーカーの生産管理部長を経て、開店休業状態の家業(甲陽書房)の立て直しへ。
生産管理と編集者の共通点である「本来の魅力、品質を引き出し、人とチカラを合わせながら、モノやサービスをつくる」活動をしています。

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